飯山市美術館特別展「正受老人と白隠禅師」を観てきました
飯山市に移住して約4か月。地域おこし協力隊のRです。
飯山の偉人とも言われる正受老人。飯山市美術館で開催されている特別展「この人なくして白隠なし 正受老人と白隠禅師」を観に行ってきました(9月10日まで)。
東京・静岡・長野県内の寺院等17か所から借用された正受老人と白隠禅師ゆかりの貴重な作品が、正受庵所蔵のものと合わせて50点展示されています。
正受老人と白隠禅師が出会った正受庵
真田信之の子として飯山城で生まれ育ち、その生涯を修行に明け暮れた禅僧の正受老人(道鏡慧端)は、飯山市にある正受庵で終生を過ごしました。
一方、「臨済宗中興の祖」と称され、禅宗史はもとより、日本美術史においても高く評価されているのが白隠禅師です。
このふたりがはじめて出会ったのが正受庵。正受老人は白隠を厳しく指導し、正しい悟りに導いた人物です。ということで「この人なくして白隠なし」というサブタイトルがついています。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、正受庵には正受老人が慢心している白隠を蹴り落とした…という「蹴落とし坂」があります。正受老人、ちょっとスパルタですね。
現存するのは2点のみ。正受老人の直筆作品も展示
特別展を担当した学芸員の井端伸介さん(三重県出身で、美術館が開館した20年前に飯山市に移住されたそうです)にお話をおうかがいしました。
正受老人直筆で、現存するのは2点のみという貴重な作品「自画像」「絶筆」は、今回初めて同時に展示されたそうです。
禅の世界には、語録や著書などで生きた痕跡を残さない「没縦跡 (もっしょうせき)」という生き方があり、そのため正受老人の残した作品は少ないのだとか。
一方の白隠は、庶民に禅の教えを伝えるために描いた絵や書が、1万点以上も残っているそうです。展示されている白隠の作品からは、力強さと自由闊達さが感じられました。
今回特別に展示が許されたという、白隠が描いた「正受老人像」も展示。正受老人直筆の2作品と合わせて「この3点が同時に展示される機会は、これが最初で最後でしょう」(井端さん)とのことでした。
ある種対照的なこのふたりの師弟関係に想いをはせつつ、正受老人の「足るを知る」生き方や禅について、もっと深く知ってみたいなと思わされた特別展でした。
飯山市美術館のご案内
飯山市美術館特別展「この人なくして白隠なし 正受老人と白隠禅師」は9月10日(日)まで。
その後、企画展「中川岳二展 木々の色々 〜wooden colors〜」が、9月16日(土)〜11月12日(日)に開催されます。
企画展のボランティア監視員を募集しているそうですので、興味のある方は参加されてみてはいかがでしょうか。
また、企画展開催期間以外は、郷土ゆかりの作家の作品を常設展示しています。特に飯山市出身の日本画家、長谷川青澄のコレクションが充実しています。
※美術館内の写真は許可を得て撮影しています。
正受庵を訪れた過去記事もあわせてどうぞ。
furusato-iiyama.hatenablog.com