飯山の水道水は豪雪地帯の自然の恵み。おいしい水を毎日に!
豊かな自然環境を求めて、都会から長野県への移住を考えている方は多いのではないでしょうか? 飯山に移住して1年目の地域おこし協力隊Rもそんな1人でした。
長野なら山が身近にあって、空気もきれいで健康になれそう、と思ったのです。
長野県北部、千曲川が流れる飯山盆地を中心に、周囲を山に囲まれた飯山市。
都会と比較して空気がおいしいのは間違いないはず…と思っていましたが、うれしいことに「水道水」もおいしいのです!
黒岩山の展望台から飯山盆地を見下ろした風景。思わず深呼吸したくなりますね!
雪解け水が豊富! 飯山の水道水は豪雪地帯の自然の恵み
冬は豪雪地帯としても知られる飯山。周囲の山々の土壌や岩盤中のミネラルが溶け込んだ雪解け水が豊富で、飯山市の上水道は複数の地下水と湧水の水源から供給されています。
たとえば、市街地を中心とした飯山地区では、斑尾山の「斑尾水源」の地下水や、お隣の木島地区の「木島水源」の湧水、「山岸水源」「其綿水源」の地下水が水道水として供給されています。
浄水施設は各配水池に設置されていますが、元の水質が良いので水道水として最低限必要な塩素滅菌のみ行っているそうです。
蛇口をひねると出てくる良質でおいしい水。そのまま飲んだり、お茶や料理に使ったりはもちろん、その水でおふろに入もれるなんて、ちょっとぜいたくですよね。
「ふるさと創生事業」が転機になり、水源を地下水に切り替え
飯山市の水道水が地下水に変更されたのは平成14年。それまでは千曲川の表流水が上水道に給水されていました。
転機になったのは、平成元年に行われた通称「ふるさと創生事業」でした。地方交付税を受けている市区町村に、使い道自由な1億円が交付されたあの政策です。
全国的に安心・安全な水道水のための高度浄水処理が求められはじめた時代。飯山市ではその資金で新水源の調査・開発に着手したのです。
現在、飯山市内の上水道は、地下水15か所、湧水15か所を水源として供給されています。
いくつかの新水源には、それぞれの地域の特徴から命名された愛称もついています。
斑尾水源「斑尾深山清水」
瑞穂水源「城之峰薬師清水」
外様水源「うぐいす清水」
太田水源「日光ゆきしみず」
飯山市へ移住をお考えの方。住まい探しの際は上水道の水源に、ちょっとこだわってみるのもいいかもしれませんよ。
そして飯山にお越しの際は、自然の恵みが感じられる、安全でおいしい水道水を、ぜひあじわってみてください。
番外編:信濃平の名水「腹薬の清水」を訪ねる
飯山市屈指の米どころ、野菜どころでもある信濃平に、黒岩山の麓から湧き出る「腹薬の清水」と呼ばれる名水があります。その昔、腹痛で苦しんでいた旅人が、この清水を飲んで治ったことが、その名の由来なのだとか。
ちょっとわかりにくい場所にありましたが、この看板が目印になります。
近くに目をやると、岩の間からこんこんと水が湧き出していました。ひと口飲んでみると、なんともまろやかなおいしさでした。
腹薬の清水の周辺には、ほかにもいくつかの清水があります。こちらは「出口清水」。
清水の周辺は、初冬にもかかわらずシダやコケ類、水草のようなものが茂って緑が多く、水のうるおいを感じました。また夏場に訪れてみたいところです。
旬の野菜だからおいしくてヘルシー! 飯山の郷土料理を作って味わう交流会
お米と野菜がおいしい飯山。新米と一緒に味わいたい飯山の秋の野菜といえば、野沢菜をはじめ、信州の伝統野菜にも認定されているサトイモ「坂井芋」や「常盤牛蒡(ときわごぼう)」があります。
飯山の食文化の伝承や農村生活の発展を目的とし、10月下旬に開催された「ふるさとの味交流会」。主催したのは、市内の複数の女性グループで組織された飯山市農村女性団体連絡会。地元の旬の食材を使った郷土料理講習会の後、市長も参加して昼食懇談会が行われました。5月に東京から飯山市に移住した地域おこし協力隊Rも参加してきました。
おいしく体にもいい“ふるさと薬膳”
料理講習会の特別講師は、戸狩温泉「四季彩の宿かのえ」の女将、庚久美さん。
おいしく体にもいい“ふるさと薬膳”をテーマにしたメニュー「味噌風味のサトイモご飯」「切り干し大根とそば粉のてんじょう焼き」の2品を教えていただきました。
庚さんが常備しているという、いろいろな野菜を30~60分ほど煮込んで一晩おいた野菜のスープ「べジブロス」を、水やお出汁の替わりに使って調理します。
ねばりが脳を活性化!「味噌風味のサトイモご飯」
「味噌風味のサトイモご飯」は、サトイモのぬるぬるしたねばりが脳を活性化させるという一品。発酵食品である味噌や、ちりめんじゃこも入れて栄養バランスもばっちりです。
サトイモは、“信州の伝統野菜”として長野県に認定されている飯山市木島地区坂井集落で栽培されている在来品種「坂井芋」。ねばりが強く、味が濃いのが特徴とのこと。
炊飯器に味噌を入れて溶かし、食材を入れてスイッチオン。炊きあがると味噌の存在感は控えめになり、調和のとれた味になりました。
ささっと作れる「切り干し大根とそば粉のてんじょう焼き」
「切り干し大根とそば粉のてんじょう焼き」は、水で溶いたそば粉に、さっともどした切り干し大根とねぎ、くるみを加え、食べやすい大きさに焼いたものです。
てんじょう焼きは、ささっと作っておやつに食べたりする料理で、普通は小麦粉を使うそうですが、今回は長野らしい食材使って…ということで、そば粉に変更。
ピリッと辛いぼたんこしょう麹をつけていただきます。実はそば粉は身体を冷やす夏の食材なのですが、身体を温める効果がある辛味を追加することで、秋にふさわしい料理となるそうです。
他にも具だくさんの「けんちん汁」を作り、三品完成です!
さらに、野菜が余ったので急きょ作ったゴボウとニンジンのサラダや、連絡会のメンバーが持ち寄ったお惣菜がテーブルに並べられました。
地元で採れた旬の野菜がたっぷりの、ヘルシーでおいしいふるさとの味をいただきながら、足立市長や市役所の農林課の職員、数年前に飯山に引っ越してきて家庭菜園を始め、今では道の駅に野菜を納品するまでになったという移住者の方も交えて、昼食懇談会がスタートしました。
飯山で食べ継がれてきた郷土料理は、飯山だけでなく日本人のふるさとの味でもあるかもしれません。飯山を訪れる人のために、このようなお惣菜を好きなだけ食べられるバイキング形式の食堂を作ってみてはどうか? などといったアイデアも飛び出しました。
そして、“信州の伝統野菜”に認定されている「常盤牛蒡」を加工したゴボウ茶やチップスも紹介されました。ゴボウ茶はあっさりしていて飲みやすく、チップスはうまみが凝縮されていておいしい!
東京にある長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」でも販売されているそうですよ。
飯山のおいしいお米と野菜は、厳しくも豊かな自然の恵み。参加されていた農家のお母さん曰く「めんどくさいことを毎日やっている」農家のおかげで、わたしたちは昔から食べ継がれてきた郷土料理を今もいただくことができるのだなぁ、と思いました。
ごちそうさまでした!